2013年12月1日の下野新聞にKAMAGAWA POCKETの記事が掲載されました!
街おこし拠点 アトリエ完成
釜川周辺に完成したシェアハウスやアトリエに集う若者に迫る「釜川ライフ」。
今回は、宇都宮大大学院の中村周さん(26)が企画した二荒町のアトリエ「KAMAGAWA POCKET」を紹介する。
長年使われていなかった空き家を学生達が4ヶ月かけて改修し、11月半ばに完成したばかり。中村さんは「学生や地域の人が行き交い、多様なプロジェクトが動いている場所にしたい」と目を輝かせている。(武藤久美)
建物はオープンデッキ、アトリエ、中村さんの住居の3ブロックで構成
天井や床に木材を使っているためぬくもりを感じ、テラスとアトリエを仕切るガラス窓からは穏やかに流れる釜川も見える。
ここが数ヶ月前まではトタンで覆われた空き家だったとは想像できない。
■研究から実践へ
中村さんは、市中心部の空き家や空き地の研究に取り組んでいる。フィールドワークを繰り返すうちに「中心市街地の中でポテンシャルのある地域に住みたい」と自宅兼アトリエをひらめいた。
昨秋、同川沿いで元居酒屋の空き家を発見。
近くに飲食店やセレクトショップも多く目の前に川がある光景に魅了され、すぐにオーナーに掛け合った。建物は老朽化しており長らく貸し出していなかったが、オーナーは「この地域を盛り上げてほしい」と快諾した。
改修が始まったのは7月。
「経費を抑えると同時に後輩たちに作る楽しさを体感してほしい」と、プロの技が必要な箇所以外は後輩の力を借りることにした。作業は古い床や壁の除去から天井などの張り替え、壁に断熱材を入れる工程などさまざま。
同大2年、田崎充彩さん(21)は、別のプロジェクトで中村さんと意気投合し作業に加わった。
「大学では、講義や図面作成が中心。図面で見たものが完成するまでを体験できるのが楽しい」と、夏休みのほぼ全てをここで過ごした。
二瓶賢人さん(20)は自前でかんなを購入したり、夏休み後も授業が終わると同時にアトリエに駆けつけるなど人一倍情熱を注いだ。「先輩や地域の人とのつながりができた。どんどん愛着が湧いてきます」
改修には学生や川沿いの雑貨店主ら30人以上が参加。作業を始めたころは立っているだけで汗ばむ季節だったが、完成時には木枯らしが吹いていた。
■スタートライン
出来上がったアトリエを眺め、中村さんは「拠点はできたが、今後どんな活動をするかが重要。ようやくスタートラインに立てた」と表情を引き締める。
活用法について、学生からは「オープンスペースに喫茶店や作家を呼ぶのはどうか」「地域の人と共同で作業する場所にしよう」といった意見が出ており、ここからさまざまな催しや地域プロジェクトが企画されそうだ。
いま、釜川周辺に「市街地の暮らしを楽しみたい」「街のみんなと盛り上がりたい」という熱望する人が集まっている。
シェアハウスとアトリエの誕生が、この地域の盛り上がりにどうつながっていくのか見逃せない。